今月の先生2

京都大学 農学博士  (福井大学名誉教授)
刈谷 泰弘 先生
『バランス(均整)の取れた体』

「体のバランスが良い加減に取れる」
  • 「お湯加減はいかがですか?」、「ハイ、いい加減ですわ!」こういう会話は50年程度前の田舎の五衛門風呂での会話としては珍しくも何ともない。

    この「いい加減」という言葉は別に「当てにならない」、「信用できない」、「曖昧」、という悪い意味ではない。むしろ肯定的な表現である。しかし、今時の使われ方は大概悪い方に使われているから話がややこしくなる。

    ここで使っているこの「いい加減」という言葉は、「全く良い」ということを柔らかく表現した言葉の表現なのである。

    そしてもうひとつはっきりとさせておきたい言葉・表現に、「栄養のバランスのとれた食事」と、「栄養のバランスの取れた料理」という表現である。この表現では栄養という言葉の意味を正確に理解していないことが明らかになる。即ち、「栄養」と「栄養素」の区別が全くデキテイナイということである。尤も、大学の有名な先生でも、この区別がつかない人がいて、町で御立派な?講演をしていることを何度も見かけている。(ご本人は先生先生と持ち上げられて鼻高々であろうが・・・・全くナンセンスである。)

    ここでは「体のバランスが良い加減に取れる」事を主な問題にするのであって、栄養が直接の問題ではないので間違った考えのままでも良いのであるが最終的にこれも関わって来るのでチョットだけ触れておく。

    体のバランスが取れていることは栄養の状態が正常であることである(と一致する)。即ちこれが「健康な体」である訳である。体のバランス=均整(この場合は骨格のバランスの事である)が崩れると栄養状態、即ち健康状態も悪くなる。いわゆる病的状態(そこまで行かなくても)、「半健康、半病気」の状態になり、医者に罹ってもハッキリしなかったりで、それが長続きするうちにいろんな臓器の機能低下による疾病症状として現われ、病人となる。それ(病人)に至までの時間は人により、或はバランスの崩れた骨格の部位によって違いが出て来る。

  • 「背骨の矯正」

    カイロプラクティックで背骨の矯正をするのは、崩れた骨格のバランスをより正しい方向(本来健康である状態)へと矯正するので、それが「うまくゆけば」病気の症状が解消する。病気と病気の症状を訴える事とは少々意味を異にする。病気は例えばばい菌に感染するとか、各種の臓器が感染症状や変質(例えば癌化)したりして、正常な代謝をする事が出来なくなって、体全体が訴えて来る現象であるが、そうでなくて、病気の状態に近い、半病気の状態になるのが、脊椎などのいわゆるバランスの崩れによるものである。

    脊椎の並びのバランスは、日常生活でも、あるいは突然の事故(交通事故や転倒したり、滑ったり・・・など)で自己の責任のあるなしに拘わらず起きて来る。老化は避けられない体格の変型などの原因によるものある。

    骨が曲がるとか歪むとかで体調は大きく狂う。なぜなら、脊椎骨一個一個の間から脳からの神経の管が各臓器や運動筋肉に結びついていて、その臓器や四肢の活動を支配しているから、神経の管の中の神経細胞が圧迫されて十分な指令・信号を伝えられなかったり、あるいは全く伝えられなかったりする。そうすると、たちまち体の部分に正しい情報がうまく流れなくなる。これが愁訴の原因である。その愁訴が内臓であったり、四肢の筋肉であったりするから、脊椎骨が健康状態を支配するということである。神経は脳から出て、頚椎、脊椎、腰椎のすべてから、それぞれ違った場所への神経管(束)が出ている。だから骨のどれひとつでも位置が狂えば、健康に直接影響が出て来る。交通事故などで受けたチョットした異常な衝突でも、背骨に狂いが生じる。

    運動でも背骨(頚椎、脊椎)損傷など簡単に起きる。(ある程度準備運動・柔軟体操・ストレッチなどで防ぐ事で可能であるが)それが半身不随ダとか、全身不随など不幸な事故としておきる。

    神経の情報伝達量が不十分であると臓器の活動も不十分となり、その結果として疾病の症状を発現する。

  • 「カイロプラクティックで体のバランスを取る」

    カイロプラクティックは、整形外科医や内科医のように、機械や薬は使わないが、手と掌で穏やかに優しく「歪んだり、曲がったりした」あなたや私たちの狂った背骨を矯正してくれる。決して無理やり力ずくではしない。内服薬を使わないから、薬害も起こさない。だから、副作用はないし、また、急激な状態の変化も殆ど無い。自然の状態に近いスピードで、ゆっくり、じっくりと元の正常な状態に近付けるものである。決して元どうりになりっこしないが(・・・限り無く元の状態に近付ける)だから、出来るだけ元の状態に近付けるのである。副作用はないが、カイロの処置でその処置を受けた体のほうはそれなりの反応を示す。極端の場合には発熱したり、虚脱感があったり・・・。それは筋肉が快適な刺激をうけたことに対する反応であって、処置の効果を示すバロメーターでもある。

  • 「健康、栄養のバランスの取れた体」

    体の骨格のバランスをとる(均整をとる)と言うことは、何もヤジロベーのように左右対象に均衡をとるのではない。それはできる筈がないことである。

    肺は左右に二つあるが、心臓は大概左側に一つある。胃はほぼ中央より少し右側に縦長に一つ、肝臓も一つこれは右側にある。腎臓は左右に一つずつある。従って背骨は頭から下に降りて来るうちに、右に寄ったり左に寄ったりして頭の重さのバランスをとっている。即ち、そのそのようにして「良い加減な左右のバランス」を取っているし、頭の位置によっては、前後のバランスを取るために脊椎は前後に振れることにもなる。前後左右にほど好い良い加減な振れをしてバランスが取れていれば、健康即ち栄養のバランスの取れた体の持ち主であると言える。

    内臓の状態を正しい方向もってさえ行けば、あとは各臓器の活動を助けるために、まずエネルギー源(人間に取っては糖質)とビタミン類が尤も大切な栄養源となる。エネルギー源の最も普遍的なものがブドー糖(砂糖に含まれ、デンプンの構成成分)である。世の中には白砂糖が骨を溶かす毒であるなどとデマ宣伝する人が大勢いるが、砂糖は決して骨を溶かしたりはしないからご心配なく。(その一方で、健康食品だなどと理屈の合わないことを平気でしゃべっている。)また、カルシウムから出来ているからと言って、カルシウムは牛乳から取らなきゃならんといっていい加減年を取った老人が牛乳をガブガブ飲んだら、それこそ下痢をする。だから却ってカルシウムが取れなくなる。それやこれやの栄養生理学の詳しい話は別の所でしても良いが、こういう難しい話は短時間・短い文章ではなかなか分かって分かってもらえないので、しない方が良いだろう。

    いずれにしても「程々に・・・良い加減」が一番!効き過ぎる薬は危ないし、効き過ぎる説教は聞きづらいものであるし難しい学問は消化に悪いでしょう。